ルイ~涙~







「ルイちゃん」



「あ、内山先生!」







今日も一人でベッドに座りながら本を読んでいたら、内山先生が来てくれた。





いつもの白衣と、いつもの笑顔。


内山先生が部屋に入ってくると、何か空気が澄んでいるように見えてくる。









「おはよう。ちゃんと眠れたかい?」









でも、何か珍しい。



こんな朝早く…って言ってももう10時だけど、内山先生が来てくれる時間っていったら、いつも午後だから…。





今日は午後に診察がいっぱいあるのかな?









「まあね。でも先生、今日は何で朝から来てくれたの?」


「え?」


「だって、いつもは大体4時後ぐらいにしか来れないよね?朝から診察がいっぱいあるからって」


「あ…ああ。いや、特に意味はないんだけどね……」


「……そっか」








最後らへんの語尾をすんなりと濁しながら、先生はベッドのそばに椅子をたてて、座った。







「……」


「……」






ちょ…ちょっと待って。



何か――変な空気だ。






あたし、何か変なこと言った?







「せっ…先生!今日も晴れてて気持ちいいねっ!」


「あ…ああ。そうだね……」


「……」


「……」








な……何この空気!?





何で何も喋んないのよ、先生っ!


何か気まずいんだけど!








――あっ。





もしかして……何か、大事な話がある、とか……?







そういえば、そうかも。


内山先生、大事な話になると、口ごもる時あるし……。






何だろ……。






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