ルイ~涙~





こうやって静かに先生をいじるのが、面白くってたまらない。






先生を不利な状況に持って行って、その真実を探るっていうね。










先生はすごく頭がいいから、もちろん最初はいつも逆のパターンで、あたしが不利な状況に持って行かれてたけど。



今となってはもう、この状況まで簡単に持っていけるあたしは、プロだ。










先生は、バツが悪そうに、自分の焦げ茶色のはねた髪の毛を、少しだけ掻いた。








「はは。もうルイちゃんには勝てないなぁ」









そして、いつもの柔らかい笑顔に戻って。



その大事な話とやらを――話し始めた。








「ルイちゃん」


「え?」


「1ヶ月半前――ルイちゃんが倒れて運び込まれてきて」


「…」


「意識が戻って、ここで僕と2人で話ししたこと……覚えてるかい?」







「っ!」








――ドクンって。




心臓が、大きく揺れたのが分かった。










……覚えてるに、決まってる。










だってあたし、その為に生きてきたもん









そのために、耐えられたんだもん。





どんなに辛い日でも。どんなに泣きたい日でも。









そのために、頑張ってきたから。











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