ルイ~涙~
“圭伍くん”
忘れることなんて、できない名前。
“圭伍くん”に会うために、あたしは今この病室で頑張ってるんだから。
「……うん。いつ連れてこようか迷ったんだけど」
「…」
「ケーゴ…大きな事情を抱えててね」
「…うん」
「1ヶ月半前…ルイちゃんがここに運び込まれた日があるでしょ?その日…僕も初めてケーゴと出会ったんだ」
「…え?」
そうなんだ…。意外。
だって先生、名前だってちょっと崩して呼んでるし
すごく親しそうにあたしに話してくれてたから。
ずっと昔からの知り合いだと思ってた。
「僕のところに受診しに来た、ただの患者だったんだ。ケーゴも。」
「そうなんだ…」
…って、あれ?
“圭伍くん”が、病院に診察に来たってことは。
どこか、体調が悪かったってこと…?
大丈夫なのかな…。
すごく心配。
ちゃんと、助かってるよね…?
あ…待って。もしかして…
その、大事な話ってのは……まさか……
助からなかった…とか?
てことはてことは。
すんごく重い病気だとか!?
あたしより、寿命が短いの!?
待って。待って。
それじゃ、ダメだよ。
「先生っ……!“圭伍くん”はっ!?無事なのっ!?病気なの!?ねぇっ!」
あたし、まだ会ってないよ。
ヤダっ…!
ヤダよっ!