ルイ~涙~
お願いっ…!
――先生っ、嘘だって言って!
「おいおいおい。勝手にケーゴを殺すなよ、ルイちゃん。僕まだ何も言ってないよ」
そう言って、先生は柔らかく笑った。
その素直な笑顔で、亡くなってはないってことが分かった。
「……よかった」
「で、続きね。そのケーゴの怪我っていうのが……顔面の重度の骨折だった」
「…え」
それでも、よくないよ。
よかったって言っちゃダメだった。
顔面の骨折…?
どうして…。危険なことでもしたのかな?
「先生…。どうして“圭伍くん”は、顔なんか骨折しちゃったの…?」
亡くなってないって分かっても…そんなこと聞いたら、怖くなってくるよ。
――もし、再生できないほどに怪我しちゃってたら?
――もし、ショックすぎて、立ち直れていなかったら?
あたし…会ったとしても、何も言えない。
“圭伍くん”の痛みとあたしの痛みはきっと…違うから。
そう尋ねると、先生は、突然勢いよく立ち上がった。
その勢いの反動で、先生が座っていたパイプ椅子が、ガシャンと音を立てて、倒れた。
「あ。ごめんね」
またあの柔らかくて優しい笑顔を浮かべて、椅子を直すと。