ルイ~涙~
――真っ直ぐ、あたしだけが独り占めしている彼の視線。
綺麗な彼の瞳の中には……泣いているあたしの顔しか、写っていなかった。
「……っ」
初めて。
初めて、こんなに優しくて温かい言葉を聞いたよ。
ただの同情のような言葉なんかじゃなくて、心から、そう思ってるんだなって分かるような…あたしが欲しかった言葉。
今までずっと、一人ぼっちだったから。
友達とか恋人とか、家族とか。
誰ひとり、心からあたしに接してくれる人なんか、いなかったから。
涙が―――止まらない。
「おいおいっ。らしくねぇな。泣くなよ」
「うっ…っ……」
「……よしよし」
この時、あたしの頭をポンポン叩いてくれた彼の手の温もりは、一生忘れることはできないだろう。
――――――
――――
10分後。やっと涙が止まった。
「……」
「…泣き止んだか?」
「…ん」
あたしが泣いている間、ずっと手を握ってくれていた圭伍くん。
泣き止んだんだけど……手をまだ……離してくれない。
ちょ……ちょっと待って。
あたし、なにしちゃってんの!?
まままままって!これ…今思えば、すっごい恥ずかしいんだけど!
やばいっ!
男の子に手握られちゃってるよっ…!
どどどどどうすればっ!?
離すタイミングってのもわかんないしっ!
あああああああっ!あたしったら―――っ!
どうしようっ!何か一人で焦ってるうちに……手が汗ばんでいるような気が……っ!
手汗!?手汗!?まって、ヤダ!恥ずかしっ……!
どうしようどうしようっ!
もうやだっ。恥ずかしすぎるっ!
消えちゃいたい……//