ルイ~涙~






――真っ直ぐ、あたしだけが独り占めしている彼の視線。



綺麗な彼の瞳の中には……泣いているあたしの顔しか、写っていなかった。







「……っ」






初めて。


初めて、こんなに優しくて温かい言葉を聞いたよ。






ただの同情のような言葉なんかじゃなくて、心から、そう思ってるんだなって分かるような…あたしが欲しかった言葉。






今までずっと、一人ぼっちだったから。




友達とか恋人とか、家族とか。

誰ひとり、心からあたしに接してくれる人なんか、いなかったから。










涙が―――止まらない。








「おいおいっ。らしくねぇな。泣くなよ」


「うっ…っ……」





「……よしよし」









この時、あたしの頭をポンポン叩いてくれた彼の手の温もりは、一生忘れることはできないだろう。













――――――


――――






10分後。やっと涙が止まった。






「……」


「…泣き止んだか?」


「…ん」






あたしが泣いている間、ずっと手を握ってくれていた圭伍くん。





泣き止んだんだけど……手をまだ……離してくれない。








ちょ……ちょっと待って。


あたし、なにしちゃってんの!?




まままままって!これ…今思えば、すっごい恥ずかしいんだけど!





やばいっ!


男の子に手握られちゃってるよっ…!






どどどどどうすればっ!?




離すタイミングってのもわかんないしっ!


あああああああっ!あたしったら―――っ!







どうしようっ!何か一人で焦ってるうちに……手が汗ばんでいるような気が……っ!






手汗!?手汗!?まって、ヤダ!恥ずかしっ……!



どうしようどうしようっ!

もうやだっ。恥ずかしすぎるっ!





消えちゃいたい……//








< 151 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop