ルイ~涙~
「…ルイ」
そんな時。
あたしの気持ちも知らずに、圭伍くんは口を開いた。
「…え?」
恥ずかしくて俯いていたあたしの顔を、圭伍くんは軽く右手で上にあげて――
「お前…泣いてたろ」
「…?」
涙の跡が付いているあたしの目の下を軽く彼の手で拭いて、またあたしを見つめた。
相変わらず、左手は握られたままだ。
「…2ヶ月ぐらい前。学校の屋上で」
「っ!?」
「俺…あの時、見てたんだ。お前のこと…」
2ヶ月前…?
屋上…?
それは多分…あたしが倒れて…病院に運ばれた日だ。
ママに反抗して、家飛び出して、
我慢できなくて……ずっと行きたかった学校の屋上に、走って行った日。
――――――
――――
『うっ…うぅっ……』
『もう……やだ……っ。やだよ……っ』
『……死にたくっ……ない…っ…よっ……』
誰もいないはずの、あたし一人だけだったはずの屋上。
なのに
―――バタンッ―――!
……突然閉められた、ドア。
あの時確か……誰かに、見られてた。