ルイ~涙~
―――――
―――
「……あ」
「…思い出したか…?」
「え…っと…。あれ、もしかして……」
嘘。
もしかして――
「……ごめん。ドアから見てたの……俺なんだ」
嘘でしょ。
どうして……。
「……」
「ごめん。あの日偶然、俺も屋上に来たら…先に、お前が居たから。先客だと思って帰ろうとしたけど……泣き出したお前のことが気になって……つい」
あたしの本音……聞かれてしまった、たった一人の人が。
今、目の前にいる…圭伍くんだったなんて。
引かれた?
同級生で、まだたったの17歳なのに……「死」が目前の女なんて。
嘘。嘘。
どうして……。
もうやだ。どうしてあたしは毎回こんなんなの。
よりによって、どうして圭伍くん?
どうして?どうして?どうして……?
「……ごめん。怒ってるか?」
「……別に」
怒ってなんかない。
ただ、もう終わりなんだって。
こんな、2人だけの幸せな時間は……もう、無かったことになるんだ。
知られた以上、会うことはできない。
出来ないっていうか……あたしがもう、会いたくない。
「…あはは…」
「……ルイ?」
「…知ってたんだね。あたしが、もう助からないってこと」
知ってて、こんなに優しくしてくれてたの。
知ってて、こんなに普通に接してくれてたの。
「……」
こんなに残酷なことはない。
知ってて優しくしてくれてるなんて…ただの、同情に過ぎない。