ルイ~涙~
「あの時は…知らなかった。“死にたくない”っていうルイの言葉は聞こえたけど…単なる悩み事だと思ったんだよ。俺、何もわかってなかったから…」
「悩み事…?」
「…ん。あの時俺、本当にどん底にいて……。誰も信じられなくて……。俺以上に苦しんでるやつなんか、いないと思ってたから…」
圭伍くんの、初めて聞いた苦しそうな声。
――思わず、顔を上げた。
そこには、苦しそうな顔をした――あたしの知らない、圭伍くんがいた。
「どういう……こと?」
どん底…?
圭伍くん……苦しいの?
どういうこと……?
―――そういえば―――っ!
『そのケーゴの怪我っていうのが……顔面の重度の骨折だった』
『先生…。どうして“圭伍くん”は、顔なんか骨折しちゃったの…?』