ルイ~涙~
違和感。
目の下にある骨が、いつもと何か違う。
「これから成績上がらなかったら……圭伍、お前を本気で殺すからな」
そう言い残して、さっさと家を出て行った親父。
さっきからホント、何言ってんの?
俺はもう、とっくの昔に親父とお袋に殺されてるんだけど。
俺の心はもう、とっくの昔に死んでるんだけど。
―――その前に。
多分俺の頬付近の骨……折れてる。
さっきの親父の一発で。
“バキッ”って鳴った。
絶対に折れた音。
「……ははっ」
……さっきまで面白かったテレビのお笑い番組の声も、今はもう聞こえない。
親父の登場で、何もかもが一瞬で崩れた。