ルイ~涙~







あれ……?


今日の内山先生は、表情が無かった……。





いつもなら、症状がいい時には笑顔になって、悪い時には顔が歪んじゃうのに。
















「うん、わかった……」


「あれ?ルイちゃん、元気なくなってない?」


「え?ううん、そんなことないよ」


「そっか。それは良かった」







“それは良かった”。



先生の口癖。









それを聞いて、少しだけホッとしたあたしは、先生に背を向け、外で待っていたママと入れ替わった。






―――バタン。






ドアを閉めた瞬間、ママと先生の話し声が途切れる。









この瞬間も……あたしが嫌いな時間。



あたしが聞いていない時に、何の話がされているのか分からない。






もしかしたら、あたしの「余命」とか。


あと~年しか生きられないよ、とか。





色々考えちゃうから。






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