ルイ~涙~
うつむきながら、看護師のあとをついていると。
――ピロロロロロ♪―――
「あっ!」
「!」
突然、看護師の携帯電話の着信音が鳴り出した。
それに気づくと、急いで携帯をポケットから取り出し、発信源を確認する。
その瞬間……たった一瞬だけ見えた。
見逃せなかった。
看護師の顔が、一気に青ざめたのだ。
――ピロロロロロ♪――
鳴り続ける着信音。
それで我に返った看護師は、また冷静な顔に戻った。
「藤堂さん。ここを真っ直ぐ行って左に曲がったらすぐにレントゲン室があるので、先に行っててもらえますか?」
多分、一緒にいる俺にも、不安な態度を見せまいと。
強がったんだと思う。
でも、ここは――。
「……はい。わかりました」
そう、頷くしかなかった。