ルイ~涙~
ただただ手が震えているだけで
突き放したって、何も解決しないのに。
何も救われないのに。
分かってるのに、行動がついていけない。
「もう…分かんねぇよ…」
俺は、一人でつぶやいた。
誰にも届かなそうな、今にも消え入りそうな声で。
相変わらず、俺の両手は震えたまま。
それと同時に、体の上半身まで、小刻みに震え始めた。
「これだけで震えるとか…マジだせぇ、俺…」
自分がこんなに怖がりだったなんて。
初めて知った。
「……先生が今から言うこと、よく聞けよ」
今、最低な感じで突き放したばかりなのに
内山先生はまた、俺に近づいてきてくれた。
何でこんなに俺に構うのか。
こんなにダサくて弱い俺を、
どうしてこんなに見てくれるのか。
こんな変な人間、初めて出会った気がする。
人からウザがられる俺に話しかけるなんて
ほんとに変人だよ、内山先生――。
「……何だよ」
さりげなく、そう返答した。
口にした俺でも、ちゃんと聞こえなかったぐらい
小さな小さな声だった。
弱い俺をこれ以上見せたくなかった。
でも――。
「ケーゴ。
お前は、弱くなんかない」