ルイ~涙~






今日の診察では、少しだけ、突っかかってくるケーゴが見れたから、良かったかな。





彼には「レントゲンを撮って来い」と言い、退室させた。











――ガラガラ――



看護師によってケーゴは連れて行かれ、診察室のドアが閉められた。







静まり返った部屋の中。


僕は、ついさっきまでやっていた残りの仕事を片付けるため、閉じていたパソコンをもう一度開き、仕事を始めようとした。






1分も経っていなかったと思う。




ドアがしまった部屋の中まで聞こえるぐらいの、走っている大きな足音が聞こえたのだ。








「…?誰だ、病院でこんな大きな音で走ってくるのは。常識がないのか」








そう思いながら、その足音の主を注意しようと、ドアの方に向かった。


ガラッとドアを開け、主を確認する。








――その瞬間。








「せっ、先生……っっ!内山先生っ!る……ルイちゃんが……っ!」








僕の中に、緊張が走った。



足音と、今の大きな声の主は……今、ケーゴをレントゲン室まで連れて行った、あの看護師だったのだ。








< 94 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop