ルイ~涙~
今日の診察では、少しだけ、突っかかってくるケーゴが見れたから、良かったかな。
彼には「レントゲンを撮って来い」と言い、退室させた。
――ガラガラ――
看護師によってケーゴは連れて行かれ、診察室のドアが閉められた。
静まり返った部屋の中。
僕は、ついさっきまでやっていた残りの仕事を片付けるため、閉じていたパソコンをもう一度開き、仕事を始めようとした。
1分も経っていなかったと思う。
ドアがしまった部屋の中まで聞こえるぐらいの、走っている大きな足音が聞こえたのだ。
「…?誰だ、病院でこんな大きな音で走ってくるのは。常識がないのか」
そう思いながら、その足音の主を注意しようと、ドアの方に向かった。
ガラッとドアを開け、主を確認する。
――その瞬間。
「せっ、先生……っっ!内山先生っ!る……ルイちゃんが……っ!」
僕の中に、緊張が走った。
足音と、今の大きな声の主は……今、ケーゴをレントゲン室まで連れて行った、あの看護師だったのだ。