他人の彼氏
「あ、ありがとうございます」


差し伸べられた手を掴むと
急に、体中に震えが回り、

その場に座り込んだ・・・。


「大丈夫ですか?」


「だいじょうぶです・・・」


どうにでもなれって思ってたくせに
土壇場になると、
助けを求めて・・・・


何してんだろ・・・私。


自分の情けなさと、往生際の悪さに



涙が、また止まらなくなり、


「もう、大丈夫ですよ。
怖かったでしょう・・・」


お巡りさんに慰められている
今の自分は、


ただの、無力な人間だ。



「とりあえず、詳しいことは
署の方で・・・」


支えられるように立ち上がり、

サラリーマン風のおじさんに


「ありがとうございました」


そう深々と頭を下げた。




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