他人の彼氏
「すいません・・・
ありがとうございます・・」


謝る事と、お礼しか
言葉が出てこない。


「俺こそ、振り回して
ごめんな。」


そんな私と、お兄さんの
微妙な空気を
ぶった切るかのように


「ほら、荷物持って
私ん家行くよ?」


そう言いながら
きれいなお姉さんは
スタスタと先へ先へと
足早に歩き
私は、置いて行かれないように
両手に荷物を抱え
小走りについていく。



そして・・・

お兄さんのアパートを出て
歩く事1分・・・

そう、お兄さんのアパートの向かい側にある2階建てのアパートが
綺麗なお姉さんの住んでいる所らしく・・・

階段を昇り
2階へ上がると、


「狭いけど・・・
まぁ・・・入れば?」


そう言いながら
部屋の鍵を開けた。


「あ、はい。
ありがとうございます。
失礼します・・」


玄関に入ると
すぐ、キッチンがあり
その奥に
6畳ほどの部屋が一つある。


・・・というか、

これからお世話になるのに
こう思ってしまうのも
どうかと思うのだけど・・・


足の踏み場がないほど
物やゴミが散乱していて・・・


「どかすスペースもないから
物体の上にでも座って」


綺麗なお姉さんは・・・


楓さんも含め・・・


綺麗好きというイメージは
完全なる誤解だ・・・。



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