他人の彼氏
けれど、

「んなもんいらねぇし。
つーか、その鍵はどうでもいいから
この部屋の鍵1つやれよ?」


そう言いながら
手を差し出している。


「この部屋の・・?」


「あぁ、この部屋の鍵。
スペアと2つあんだろうが?」


さっき、黒崎伸治に投げられた鍵には
たしかに2つの鍵が連なっている。


「取ってないの・・?」


そもそも、この部屋は
黒崎伸治が契約してる部屋であって・・



「取るわけねぇだろうが。
希からもらわねぇと
意味ねぇし。
くれねぇの?」


「え?あ、ちょっと待って・・」


1つ鍵を外し
手渡すと、


「くれたっつー事は
いつでも自由に来ていいって事だよな?」


そう言いながら
含み笑いを浮かべている。


「う、うん・・・・?」


「よしっ、んじゃ
俺は、仕事行くわ。
あーそうそう、ほら生活費」


「え?な、何で?いいよ、大丈夫」


これ以上、迷惑はかけれない。


「お前は大丈夫でも
俺は大丈夫じゃねぇの。
明日の昼、めし作ってて。
仕事行く前に、ここ来っから」


そう言うと、
無理矢理、私のバッグに
お金を突っ込み
出て行ってしまった・・・。







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