他人の彼氏
罪悪感との戦い
一体、この時間は
何だったのかと考えてしまう自分もいるけれど、

帰り際に、抱きしめられた事が
何よりうれしくて、

何だか・・・・

不機嫌な緊迫した時間とか、

不安な時間とか、

もう、どうでもいいや・・・なんて

思えてしまう。



けれど、

そんな余韻に浸る間もなく、
隣から聞こえてくる会話は・・・・



「しんちゃん、何で
電話出なかったの?」


「だから、出れなかったって
何回言えばいいんだよ?」


「不安だったんだから・・・」


「だから・・・
帰ってきたから
もういいだろって・・・」


「じゃあ、抱きしめて」


「・・・・これでいいか?」


「うん・・・・」



もう、この壁の薄さ・・・

嫌になる。


思わず、テレビの音量を上げ

隣の声なんて、まったく聞こえないほど

大きな音量でテレビをつけている。



近所迷惑な事くらい分かってる。


でも、せめて・・・

今は、今だけは

現実を見たくない。
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