他人の彼氏
「・・やっぱ、希がいいや」


そう呟くように言うと

私の体を引き寄せたまま

寝息が聞こえ始めた。


何か・・・何か

今・・・すごくうれしい事言われたような気がするんだけど・・・



聞き返す暇もなく
眠りについてしまった黒崎伸治を
起こす事なんてできるはずもなく


私は・・・当たり前だけど

目が冴えてしまい
それから、眠れる事はないまま

朝を迎えてしまった。



できる事なら、

ずっと、このままでいたいけれど・・・



けれど・・・


机の上で

さっきから、ひっきりなしに光っている携帯を無視し続けるなんて

私にはできず・・・



黒崎伸治の頬を
触りながら


「携帯鳴ってる・・・・」


そう言うと


「あぁ・・・・」


頬を触る私の手を掴み

首の後に回し


私の顔を胸に押し付けるように
抱きしめると


そのまま・・・・


時間だけが無意味に過ぎていく。
< 199 / 276 >

この作品をシェア

pagetop