他人の彼氏
「さて・・・
伸治は、どうしたいのかしら?
私に、すごい迷惑がかかってるの
ご存知かしら?」



「んなの知るか」



「あら、随分な言い方だわ。
それなら、居候ちゃんを
私の家に連れて帰っても
問題ないって事よね?」



「っ!?なっ、何
ふざけた事」


「しっ、あんた
そんな声大きく出したら
隣に聞こえるってば!」



たしかに・・・

隣の声が聞こえるという事は
こっちの声も、気をつけないと
簡単に聞こえてしまうわけだし・・・


そんな楓さんの言葉に


「っ・・・
マジ、勘弁してくれよ・・・」



参った様子で
そう言いながら
頭を抱え、うなだれるように
下を向いた。


「だから、私が
勘弁してほしいんだってば」


「どうすりゃいいんだよ?」


うなだれたまま
頬杖をつき
楓さんの方を睨むように
目を向けた。


「ここに長居せず
ちゃんと帰って。
隣の本家に」



「それだけは嫌」


「・・あんた、子供じゃないんだから」


呆れた様子で
ため息を
大きくついた。
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