他人の彼氏
声を掛けるような雰囲気ではなく
思わず、その場に
立ち止まってしまった。


継母と、やよいさんと・・・

スーツ姿の細身の中年男性が
歩道の真ん中で
言い争っているのか
継母が中年男性に
掴みかかり
それを、やよいさんが制止していて・・・



「希、やっと見つけた
あー・・・ったく・・・」


後から追いかけてきたのか
黒崎伸治が
息を切らし
私の肩を叩いた。


「希?どうした?」


立ち止まったまま動かない私の横に並び
視線の先を見る黒崎伸治。







「親父・・・・じゃん。
あんなとこで何してんだ・・?」


そう独り言のように呟くと

私の手を握り

視線の方へと歩き始めた。



そして、

3人の視界に入る所まで歩くと


黒崎伸治の姿に気づいた
やよいさんが


「お母さんっ!
しんちゃんが・・・」


掴みかかっている継母に
大声でそう言うと


継母と中年男性が
同時に振り向いた。




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