他人の彼氏
「別に・・・
謝る必要ねぇと思うけど?
きっかけはどうあれ、親父が
一人寂しく生涯を終えるよりも
再婚するほどの女と死ぬまでに会えたってのを考えると
不純な動機とは言え
結果オーライなんじゃねぇかなと
俺的には思ってんだけど。
やよいの事にしても
別に、俺がやよいに強制的に迫られたわけでもねぇし
自業自得な結果だしな。
まぁ、親父達の場合は
これからどうなるか知らねぇけど・・・
ははは」


「しんちゃん・・・・」


「何よ・・・ガキが偉そうに・・・
これからなんて・・・
そんなの決まりきってるじゃないの!
私は・・・別に
別れる気なんてないんだから。」


「おー、ババア言うじゃん。
金なくてもいいってか?」



「そんなの・・・また
這い上がれば済むことよ。
何年かガマンして苦労すれば・・・」



「すまない・・・本当に・・・」


「べ、別に・・・
あんたの為じゃないんだから。
少しだけ一緒に苦労してあげるだけで
また楽させてもらうんだからね!」


「そんじゃー
どっか引っ越したら
また電話でもして」


「あぁ、迷惑かけたな・・・」


「ははは、退屈しのぎに
ちょうど良かったよ。
んじゃーな、やよいも
いい男見つけろよ」


そう言いながら
やよいさんの頭を優しく撫でると
私の手を引き
アパートの方へ引き返して行く。


何だか・・・何か・・・


黒崎伸治って・・・












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