他人の彼氏
机の上の物を片付けながら
テレビを観ていると、


「おい、お前 何してんだよ?」


体中びしょ濡れの状態のまま
黒崎伸治が、
座っている私を見下ろしている。


「何って・・・・・」


それは私のセリフだと思う・・・


真っ裸の上
そんな、びしょ濡れの状態で
ここまで来てるわけだから
床は どえらい事になってるし

せめて、軽く拭くとか
前を隠すとか・・・・


そういう事はできないものだろうか。


「風呂っつったよな?」

「え、うん?
あ!タオル!?
ごめ・・・気づかなくて・・」


それにしても
そんな状態で、わざわざ来なくても
叫んでくれたら良かったのに・・・


慌ててタオルを取り
渡そうとするけれど、

受け取る素振りもなく

ただ、じっと
私の顔を見ている。


「あの・・・・?」


「何で、お前こねぇの?」


はい・・・?



「脱げ」


「・・・え?私も?」


「風呂入るっつっただろうが」


「それは・・・」


あなたが言った事であって
私が言った事じゃないのだけど・・・


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