他人の彼氏
「何?俺に脱がしてほしいわけ?」


脱ごうとしない私に
少しずつ近づいてくる。


「いえ・・・
あの、あっちで脱ぐので・・
先に・・・入ってていただけると・・」


「あ、そ・・・」


そう言うと、

再びバスルームの方へ歩いて行く。

濡れた床を拭きながら

私も後へ続くけれど・・・


やはり、

この男の考えてる事は

よく分からない・・・。


別に、2人で
わざわざ狭いお風呂に入らなくても・・


というか・・・


変に意識するせいか

緊張してしまってる自分がいる。


服を脱ぎ、

軽く深呼吸をすると

扉を開け、中に入った。


湯気で、
ぼんやりしてるのが
唯一の救いかもしれない。


「なぁ、希。」


湯船の中の黒崎伸治が
私の方を見ている。
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