かくれんぼ
悪夢
とうとう放課後になった。
教室にはクラスメイトほとんどが残っていた。
「おい、みんな残ってるか~!送信者探さねぇとなー!ケラケラ」
柿沼がクラスメイトたちに呼び掛けていた。
「そーそ!どーせ始まりゃしないんだから。メール送ったやつを見つけるだけだよ~」
彩佳もそれに便乗する。
「さー、そろそろだぜ…」
キーンコーンカーンコーン…
4時のチャイムが鳴った。
普段ならこの時間までには下校しなければならない。
だが、いつもなら先生が下校を呼び掛けに来るはずなのに今日はなぜか来なかった。
ピンポンパンポーーーン…
「え?放送?私が放送室の鍵を持ってるのに…」
放送委員の立花さんが不思議そうに言う。
プツッ…ツーーーーーー…
『皆さんこんにちは。かくれんぼの時間です。今日も元気にかくれんぼしましょう』
ピンポンパンポーーーン…
「なにこれマジでやるの?」
彩佳は曇った顔になっていた。
それに、気味が悪い。
放送していた声は幼い女の子の声だったからだ。
まるで今から小学校の休み時間のように。
元気にかくれんぼをする小学校の頃のように。
「今放送室に行けばそいついるはずだ!行こうぜ!」
柿沼は教室を飛び足すと真っ先に放送室へと走っていった。
「え、ちょ!優花!」
私も気にはなっていた。
柿沼のあとを追うように走る。
パタパタッッ
「くそっ…」ガンッ
曲がり角を曲がると、放送室のドアの前に柿沼が立っていた。
「誰かいた?」
「誰もいねぇよ。それどころか鍵がかかってやがる!」
鍵?どうして?
この学校には放送室の合鍵はない。
立花さんが鍵の閉め忘れなら鍵は閉めることができないはずなのに。