かくれんぼ
「皆静かにしてたから大丈夫だったけど…ドアの隙間から…見ちゃったの……」
「なにを?」
いつのまにか私の心臓もばくばくしていた。
こんなにも緊張感が溢れたのは久々だ。
「血まみれの…女の子…っっ…」
「く…っ…ふふ…何言い出すかと思えば、血まみれの女の子だぁ?ばかか!お前!」
「本当だもん!見たのよ?あたしは嘘ついてない!それで怖くなって、女の子いなくなってから逃げてきちゃったの…っ…皆をおいて…っうう…」
彩佳のかおは蒼白になっていた。
たしかにこの状況で理解することなんて到底できないかもしれない…
だけど、彩佳の怯えようを見ているとどうもそれが嘘には見えない。
「大丈夫だよ。彩佳…絶対大丈夫だから。」
根拠もないのにこんなことを言う私はバカなのか…
「………」
「始まってる…」
「彩佳?」
「絶対来るんだよ…皆死ぬ」
「…大丈夫?捕まらないよ?私たちはここにいるでしょ?」
「死ぬよ…怖いっ…っっ」
彩佳をあやすように私は彩佳を抱き締めた。
彩佳はこう見えても怖がりだった。
昔からそうだ。
皆で遊園地にいったときも、一人だけお化け屋敷に入らなかった。
「それが本当ならさ、かくれんぼってーのはさぁ…」
柿沼が口を開いた。
「うん…間違いなく…」
“かくれんぼ”は始まっているのだ。