かくれんぼ

キーンコーンカーンコーン…

一時間目の授業は国語だった。
何事もないように思えた。
そもそもあのメール自体が本物かどうか分かっていないのに、なにに寒気を感じていたのだろうか…

考えていると自分がバカらしくなってきた。

カサッ…

ノートをとっていると、授業中にも関わらず手紙が回ってきた。

「ごめんねっ!なんか皆に回してほしいんだって…私もよくわからないけど…」
【出席番号14番。立花 市華(タチバナイチカ)】

隣の席の立花さんは謝りながら私に手紙を回してきた。
立花さんは確かこのクラスの中じゃ親がキツくて、一番受験に気を入れてる人だった。
授業も真面目に話を聞いてノートをとっている。
親のせいなのか、立花さんは気が弱いらしい。


私は回ってきた手紙を開いた。
「彩佳…バカだ…ハァ」

思わずため息がでた。
手紙を書いた人はきっと彩佳だ。
ずっと一緒にいると彩佳の丸くて癖のある字が見ただけですぐわかるようになっていた。

【三年一組の皆へ~!】―――
今日のかくれんぼの話だけど、皆ちゃんと残ってよね~!くれぐれも阿佐間サンみたいに逃げないでよね!

とりあえず、残ってね?
ちゃんとかくれんぼに参加して!
それに、メールに書いてたように強制参加だから!
学校の外に出たり、参加しなかったりしたら、そいつらにも処罰が下るんだから。

いーい?こんなふざけたメールを送ったヤツを探すためでもあるんだから。

―――【秘密の女☆より】――――



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