その男、小悪魔につき。【停滞中】
半ば強引に連れてきたのはホテルの最上階にあったバー。
ところどころにキャンドルが灯っていて、とても雰囲気のあるお店だった。
カウンターに腰掛けて、それぞれカクテルを頼んだ。
「なんか変な感じ…」
「何がですか?」
「ふふっ、千尋くんとこんな所にいるのが」
「……?そうですか?」
いつもはスーツを着てる千尋くんと、会社で一緒に仕事をしているからなんか……変だけど嬉しいかも……
「……ははっ」
突然隣で千尋くんが笑った。
「どうしたの?」
「いえ、俺も同じ気持ちだったから。なんか嬉しいって思ってます」