その男、小悪魔につき。【停滞中】



……同じ、気持ち。



何だか嬉しくて頬を赤らめると、千尋くんが頬杖をつきながら私を見た。



「可愛い」



「ちょっ、やめてよ!」



「うわ、いって」



ポカポカと笑っている千尋くんを叩いていると、後ろから声が聞こえてきた。




「櫻井くん……?」



すると千尋くんの視線が私から外れて、瞳が大きく開かれる。



「佳苗さん……」



かなえさん……?



振り返るとそこには恐らく私より年上ほどの女性が、立っていた。



何となく頭を下げると、その女の人は私を見て泣き笑いのような表情になる。



えっ……



「あの、」




< 104 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop