その男、小悪魔につき。【停滞中】







「蓮水が遅刻なんて珍しいな。」



「すみません。プレゼンが近いのに……今日は残業覚悟でやります。」



「そりゃ頼もしい。でもどうしたんだ?寝坊でもしたか?」



「……はい。本当にすみませんでした。」



もう一度部長に頭を下げ自分のデスクへ向かう



1時間の遅刻なんて………



でも朝起きたら知らない人の家にいました、とは口が裂けても言えない……



彩月は大学を卒業してからcm制作会社に勤めていた。


元から希望していた仕事なので内定を貰えた時は思わずジャンプして喜んだ覚えがある。



職場は比較的若い人が多く、先程の部長もまだ40代半ばだ。



男女の割合も半々ほどで関係も良好、仕事も慣れて、この仕事に益々やり甲斐を感じていた今日この頃……




あぁあ~、私がまさか遅刻なんて……



ストン、と自分の椅子に腰を降ろし溜め息を吐いた。


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