その男、小悪魔につき。【停滞中】
「遅刻なんて珍しいわね。ってありゃ~?彩月、昨日と同じ服だ。」
隣のデスクに座っている同期の真緒が、椅子をコロコロ転がしながらニヤけた顔で近付いてきた。
「あっ、ちょっと真緒!後で聞きたいことあるからお昼覚悟しといてよっ?」
「聞きたいこと?……はっはーん、さては昨日のイケメンくんとあの後何かあったのね?」
「な、何もないっ!とにかく、社食じゃなくて外で奢るから」
「じゃあ、こないだ言ってたイタリアンね!ラッキー!あぁ~、お昼が待ち遠しいっ!」
笑顔で自分のデスクに戻りコーヒーを飲みながらパソコンへ向かう真緒。
イタリアン……今月厳しいのに……。
でもとても社食じゃ話せないし、仕方ないか……
デスクに向き直すと資料が山のように積んであり、私は気持ちを切り替えてバソコンの電源を入れた。