その男、小悪魔につき。【停滞中】
笑顔でガッツポーズをしてみせると、真緒は疑いの目を向けてきた。
「彩月はそうやってす~ぐ、一人で抱え込むんだから。たまには頼りなさいっ!」
すると真緒は立ち上がりスタスタとお会計をしに行ってしまった。
真緒……。
そろそろ、本当に忘れなきゃな……
私もすぐに立ち上がり、レジにいる真緒の肩に腕を回した。
「真緒っ、ごちそうさまっ!今度は私が奢るね。いつもありがとっ!」
「何よ~、お礼なんて気持ち悪い。っていうか彩月、あのイケメンくんを物にしちゃいなさいよ!」
「はいっ?!」
「もったいないわよ~。連絡先貰ったんでしょ?」
「そ、それはそうだけども……」
「彩月には新しい恋が必要よっ!さーて、午後からも仕事頑張りますかっ!」
そしてコートを羽織り、店を出て会社へ向かう。