その男、小悪魔につき。【停滞中】



寺井にお弁当を差し出され、一瞬チラッと鞄に目を向けたが、笑顔で受け取った。



「あ、ありがと!お腹減ってたんだ~」


「ん?もしかしてなんか軽食持ってた?」



と寺井は鞄を指差しながら言う。



「も、持ってない!持ってない!」



「そ?……なら良かった。」



危ない危ない……寺井なんかにお弁当箱見られたら根掘り葉掘り聞かれるに決まってる!



何かにつけてちょっかい出してくるんだから…
…。


彩月がホッと胸を撫で下ろしていると寺井が席を立った。



「あれ?食べないの?」



「あぁ、俺もう帰るから。ま、残業頑張れ~」



「え?帰るのにわざわざ買ってきてくれたの?全然ついでじゃな」



「あ………だ、だから!俺の夕飯のついでだ!じゃなっ!」


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