その男、小悪魔につき。【停滞中】
「千尋くん?」
顔を覗き込むと、千尋くんは口元に手をあてながら首を振った。
「いや、彩月さん子供みたいで可愛いなって…。」
か、かわいい……
って、私の馬鹿!!
そんな社交辞令みたいな台詞は誰にでも言っているに決まってるでしょー!!
はぁ……。
ていうか千尋くんってヒョロッとしてるように見えて意外に肩とか…
紅茶を入れて私に背を向けている千尋くんをぼーっと見ていると、突然千尋くんが私の方を振り返った。
「あ、彩月さんもう紅茶入るのでケーキだけ運んでおいてください。」
「えっ、あ、はい!」
はぁ…。
年下に振り回されてどうするのよ、私…。
“あの年下くん、ものにしちゃいなさいよ~”
その時ふいに真緒に言われた台詞を思い出して、私はぶんぶんと首を振った。