その男、小悪魔につき。【停滞中】
#002
「はぁぁ!?彩月、それまじで言ってんの?」
会社の食堂でコーヒーを飲み、真緒は私の方を見て吹き出しそうになった口元を拭きながら言った。
「そ、そうみたいでして…。私にもよくわからないんだけど…。」
あはは…と私が空笑いすると真緒は腕を組んで少し考えた後、再びコーヒーを口に運んだ。
「でもさ、彩月にはそのくらいの方が良いのかも。しかも3ヶ月って期限付きであのイケメン君と付き合えるなんて…最高じゃない!」
「ちょっ……声が大きいって!しー!」
誰かに聞かれたら…!
キョロキョロと見回したが、みんなそれぞれの話に夢中で私たちの話を聞いている人はいなかった。
「はぁ…セーフ。」
「でもねぇ、はっきり言うとセーフじゃないからそれ、アウトだからね?」
「それは、わかってるよ…。でも…」
「はーぁ。彩月のことだから流されちゃったんだろうけどさ、でもまぁ良いんじゃない?お試しってことで付き合ってみればさ。」
お試し、かぁ。
そんな器用な事、私にできるのか?