その男、小悪魔につき。【停滞中】
千尋くんの挑発的な視線にドキッとして、口を挟むと
「では3ヶ月間よろしくお願いしますね。彩月さん」
と、千尋くんがあまりに愛しそうな表情で、私の頬を触ってきて、私は、私は……
「何も言えなかった…。」
仕事から帰ってすぐに冷蔵庫に直行し、ビールを開けてソファーに寝転び、そう呟いた。
結局あの夜は、男女の関係にはならなかったらしい。
でもさぁ……
あんな年下の大学生にあんな約束させて、自分は酔ってて覚えてないって?
いくらなんでも恥ずかしすぎる。
うぅ…
ソファーから起き上がってグビッとビールを勢いよく流し込む。
でも千尋くんからしたら、私なんてただの酔っ払いのおばさんだったのに何であんな約束…
…今時の子は何を考えているんだか。
そんな年寄り臭い考えに辿り着いた時、私はソファーに突っ伏して寝てしまった。