その男、小悪魔につき。【停滞中】
「いやいや、全くつまらなくないから教えて下さい!!私あなたの事、全然っ、全く1ミリも覚えてないの。もしかして何か失礼な事とか…とりあえず今の状況を説明を……。」
「…………」
「あの……?」
「桜井千尋。22歳。K大学4年法学部。つまりこの春に卒業します。えーと、家族構成は父母、姉、兄で俺は次男坊。それで」
いきなり茶髪の柔らかそうな髪をかきむしって、指を折りながら自分の情報を話し出した。
へぇ、K大ってすごいなぁ……
「じゃなくて!ちょっと、」
「趣味は……色々です。特技はー…」
「あのっ!!……大体あなたの事はわかりましたから。それで昨日の晩はーーー」
「千尋」
「何があった……って、え?」
「だから、“あなた”じゃなくて千尋です。」
ニコリと身を乗り出しながら言われ、思わず頷いた。
「じゃ、じゃあ千尋……くんで。千尋くん、昨日の晩は…あの…」