その男、小悪魔につき。【停滞中】
「いやいや、ソファーで大丈夫だから!!」
「じゃあ俺がソファーにします。」
「でもそれは悪いから……」
千尋くんの家に着くと順番にシャワーを浴びた。
そもそも時間が時間だったので、寝るだけのようで内心ホッとしていたのも束の間……
「こうすれば丸く収まるんですよ。」
ベッドに腰を下ろしていた千尋くんに腕を引かれ、そのままベッドに入ってしまった。
そして千尋くんはあろうことか、腕枕をして私を抱き締める。
目の前には男の硬い胸板。
少し目線を上げれば長い睫毛を伏せて、目を閉じている千尋くん。
腰には少し筋肉質の腕が回っている。
ちょっ……!!無理無理!!
こんな状況で寝れるわけがない!!
「あの……」
「しー。仕事でお疲れなんだから寝た方が良いですよ。」
目を開けて悪戯に微笑みながら、千尋くんは言った。
うっ……でも眠れない。安眠妨害。
「あの、やっぱりソファーで」
そこまで言うと、千尋くんは目を開けて溜め息を吐いた。
「そんなに寝たくないなら寝かせません。」