その男、小悪魔につき。【停滞中】


それから親戚の法事やら回忌やらで私の春休みはほぼなく、出勤日を迎えてしまった。


それは千尋くんも同様の様で、バイトをギリギリまでやってほしかったらしくバイト三昧だったらしい。



にしても私は……。



「何それ。イケメンくんに完全に手玉に取られてるじゃない。」



うぅ。仰る通りで……。


「しかも実際問題この1ヶ月は無駄に過ぎちゃった訳で、実質あと2ヶ月しかないよ?」



「それは、別に私は……。」


モゴモゴと口ごもり俯く。


「“素直じゃない。可愛くない。年上めんどくせー。”」



「は?」



「って言われないよーにねー。」



そしてエレベーターを降りると、いつもよりオフィスが騒がしくなっていた。



「おはようございまーす、って何か今日あったっけ?」


「え、ううん。何も聞いてないけど…。」
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