その男、小悪魔につき。【停滞中】
#003
ガチャリ
憂鬱な足取りのまま、会議室に一番最後に入る。
あぁ、何でこんなことに……。
「寺井は金谷、蓮見は櫻井について今日から仕事のいろはについて教えてやってくれ。」
「了解しました!」
「……はい。」
綺麗な金谷さんに鼻の下を伸ばして喜んで返事をする寺井とは反対に、私は床を見つめて返事を返した。
出来るだけ千尋くんを視界に入れないようにして、4人会議室から出るといきなり手を握られた。
えっ、
驚いて隣を見ると、悪戯に微笑んで私を見下ろす千尋くん。
「(ちょっ…!)」
必死に顔で訴えると、握っている手に地からがこめられた。
「あの、資料室に寄りたいのでお二人は先に戻っていてください。」