その男、小悪魔につき。【停滞中】
「何ですか?」
「私たち……し、してはないよね……?」
「……さぁ?わかりません。俺も22歳の健全な大学生ですし。」
首を傾けながら不敵の笑みを浮かべる千尋に思わずドキッとしたが、これは体裁の危機だと思い直し少し声をあらげた。
「あ、あのっ!少しは真面目に答え」
「彩月さん、時間は?」
「え?」
「今7時ですよ?俺の家から彩月さんの会社までは1時間はかかります。それでシャワー浴びて、朝飯食べるからもう準備しないと。」
「わ、私の会社まで知ってるの?」
やばい。これは私のこと洗いざらい話してしまったパターンか?
以前も会社の飲み会で自分の話を上司に熱く語ってしまいドン引かせ、赤っ恥をかいた事を思い出した。
あの後は会社、行きづらかったなぁ……
「知ってるもなにも……まぁ、いいや。とりあえずシャワー使って下さい。」
千尋くんは困惑している私の腕を引っ張って、お風呂場まで連れていった。
「はい、これバスタオルです。それとシャンプーとかは適当に使ってください。」