その男、小悪魔につき。【停滞中】
真緒と別れ、私はもう素直に手を繋がれて歩いた。
夜の町の明かりが何だか眩しく感じる。
体が熱い。
足が上手く動かない。
すると歩くペースの落ちた私に気付いたのか、千尋くんが足を止め、私の額に触れた。
「熱い。」
「あはは、やっぱり?何か朝から怠い気がしたんだよねぇ」
「はぁ。何であなたは……」
千尋くんは呆れた後、すぐに優しく微笑んだ。
ドキッ
……いや、これは熱があるから顔が熱くなっているだけで、決してやましい気持ちではなく……
「行きますよ?タクシー拾いますから。」