その男、小悪魔につき。【停滞中】
リズム良く揺れる体。
あぁ、何だか心地が良い。
パチッ
「え?」
「あ、起きました?」
目の前には千尋くんの横顔。
そして私の体は浮いていて、心地良い中で何かを抱き締めていた。
「きゃあ!ちょっと、何してるの!」
抱き締めていた手を離そうとすると、千尋くんは慌てて体を前屈みにした。
そう、私は千尋くんに……おんぶをされていたのだ。
「危ねっ」
「歩ける!歩けるからっ、」
「全然重くないですから、それにもううち着きました。よいしょ、」
私を軽くしょい直して、鞄から鍵を出して開けて玄関に私をゆっくりと降ろした。