その男、小悪魔につき。【停滞中】
やめてっ!!!
「はぁ……はぁ……」
ガバッと起き上がると夢だったと気が付いた。
額に手を押しあてて顔を歪める。
どうしてこんな夢……
「ん…彩月先輩?」
夢と同じようにそう呼ばれ、私は首を振った。
「今はそう呼ばないで……」
掠れたような小さな声で呟くと、隣に寝ていた千尋くんは起き上がって私を抱き締めた。
腕の中で、よしよしと頭を撫でられて自分が酷く小さく感じられる。
「彩月さん」
そう呼ばれて千尋くんの背中に手を回す。
「嫌な、夢を見たの……」
「じゃあ話してください。ほら、夢って人に話すと正夢にならないって言うし」