その男、小悪魔につき。【停滞中】
遠くから真緒と寺井の話し声が聞こえる。
あー、これは本格的にヤバいなぁ。
最近飲んでなかったし、疲れている時に飲むと酔いやすいんだった。
「ふぁー、ほんっと私って何やっても上手くいかないんだよねぇー」
「はいはい彩月。もうすぐお開きだし、タクシー呼ぶからね」
「ふぁーい。真緒さん了解しましたーぁ」
真緒はそそくさと廊下に出て電話をしに行ってくれた。
あぁー。視界が回ってる。
駄目だ。
そう思ってとりあえず隣に座っていた寺井に寄り掛かった。
「ちょっ……蓮見!?」
「良いじゃん良いじゃん。ちょっと肩くらい貸してよ 」
「……わぁーったよ」
ボーッとしていると寺井は急に枝豆を貪りだした。
「何してるの?」
「うるせーな。これは自分との戦いなんだよ! 」
「ふーん」
まったく……変なやつ。
「なっ!笑うなよ!誰のせいでこんな目に……!」