その男、小悪魔につき。【停滞中】
「何よー。私のせいだって言うの?」
チラッと寺井を見上げると、寺井の顔はボボボッと音が鳴ったんじゃと思うくらい一気に赤くなった。
「ちょっと?あ、もしかして熱でもあるんじゃ……」
そのまま寺井の額に触れようとすると、誰かが私の腕をふいに掴んだ。
「え……?」
「タクシー、着いたみたいですよ」
ニッコリと微笑んでそう言ったのは千尋くんだった。
あれ?さっきまで囲まれてたんじゃ……
千尋くんがいた所を見ると、見事に潰れている女子社員たち。
…………。
「あっ、じゃあ俺も乗っ」
「すみません寺井先輩。俺も乗りたいんで」
「でもタクシー3人乗れ」
「すみません」
喰い気味に、でも笑顔で寺井に断った。
何でそんなに威圧感……?
「じゃ蓮見先輩、行きましょうか」