その男、小悪魔につき。【停滞中】
#005
「う、うん……」
それから千尋くんに手を引かれお店を出ると、前にはタクシーが止まっている。
「先に彩月さんのマンション行くので行き先言ってください」
「ごめんね。ありがとう」
だいぶ酔いが回ってきた……
てか気持ち悪い!!
乗り込んで塞ぎこんでいると、千尋くんが私の顔を覗きこんだ。
「大丈夫ですか?水とか買ってきます?」
「ううん、大丈夫。」
はぁ……。
千尋くんにはカッコ悪い所ばっかり見られちゃってるなぁ。
「……。」
「ん?何?」
顔を見つめてくるので横を向くと、千尋くんはポンポンと膝を叩いた。
「へ?」
「膝枕、どうぞ」