その男、小悪魔につき。【停滞中】
ヒザマクラ……?
「……むっ、無理無理!!」
「早く」
フワリと私の体を倒して髪をすかれる。
酔いと恥ずかしさが混ざって私の胸はドキンドキンと音をたてる。
うぅ、もう早く家着いて~。
ギュッと目を瞑っていると、千尋くんはジャケットを私の体にかけた。
「あ、ありがとう」
「……あんまり、心配させないでくださいよ」
「心配って?」
確かに酔っ払って迷惑かけてるけど、心配させるような事までしてたっけ?
横向きから頭をくるりと千尋くんの方に向けると、沈黙が流れた。
何か言いたげな顔で見下ろされ、私は顔をしかめる。
「……。」
「あのー、千尋くん?」