その男、小悪魔につき。【停滞中】
「……彩月さん聞いてます?」
「へ……?」
隣を見ると運転席に座っている千尋くんは、少し不機嫌そうな横目で私を見た。
「だーかーらー、今日なんですけど、行きたい所とかありませんか?」
信号が青に変わると、千尋くんは車を発進させる。
「ええっと……何処でもいいよ」
朝の織田さんの電話から、どうしても考え事をしてしまう……。
駄目だ!
せっかくの休日デート……ん?
これは、果たしてデートなのか?
「何処でも……じゃあ俺が決めちゃいますからね。どんなに嫌がっても異論は認めませんよ」
何故か千尋くんはニヤリと意味ありげに口角を上げる。
何かヤバそうな気配……
まぁいいや。
千尋くんとなら何処でも楽しそうだし!