その男、小悪魔につき。【停滞中】
可愛い……
「よっし!楽しもう!ほら、行くよ!時間は待ってはくれないんだからね!」
照れ隠しに私はついはしゃいで千尋くんの手を取って走り出した。
仕事では女とか男とかで甘く見られたくないから、ただガムシャラに一生懸命やってきた。
特に取引先にはしっかりした姿をアピールしないと、上手くいかなくなることだってある。
今日は仕事も面倒なことも全部忘れて、おもいっきり!
「あ、遊園地だ!」
久しぶりだなぁ……
「さ、行きましょうか」
「うん!」
えっと、……
「あの、まさか初っぱなからお化け屋敷に入るわけじゃないよね?」
「そのまさかです」
「いやいやいや、ここはまだ良いんじゃないカナ……?」
「これが一番空いてますし……さっき俺の話聞いてなかった罰です」
キラキラとした、でも裏のある笑顔を向けられ私は仕方なく入ることにした。
晴天で太陽がサンサンと降り注ぐ中、異様な雰囲気を醸し出している。
外観を見るだけで既に心臓は爆発しそう。
なのにこれから中に入るなんて……前言撤回だ。