その男、小悪魔につき。【停滞中】
それをどうにかしてあげたいと思ってしまうのは、俺の中で何かが変わってしまっている証だった。
良いんだか、悪いんだか。
他の男の傷を慰めるのは少々不本意だけど……まぁいいか。
俺が運転している最中ずっと仕事の愚痴やら、友達の話をしている彩月さん。
きっと元気に振る舞って、元気がないことを隠そうとしているんだろう。
何でこんなに……
「ん?千尋くん何で笑ってるの?」
「いや、何でもないです」
「え~何よ。私なんか変なこと言ったかなぁ」
その考え込む姿をハンドルを握りながら横目で見る。
何でこんなに俺の中に入ってくるんだ…。